ヒプノシスマイク Fling Posseの『Stella』を読み解きたい

お久しぶりです。

ヒプノシスマイク初のフルアルバム「Enter the Hypnosis Microphone」が昨日発売となりました!私は初回限定LIVE版を火曜にアニメイトフラゲしていて、それはもう堪能しています。
 
オフクロ(※Buster Bros!!!推しの女)なので『おはようイケブクロ』はもちろん最高なのですが、その他の曲の中で群を抜いて心臓を撃ち抜かれたのが、シブヤの新曲『Stella』。
 
ここから常体。
 
こちら、作詞は前回のポッセ曲『Shibuya Marble Texture-PCCS-』でもおなじみ、AFRO PARKERの弥之助さん。この方、ヒプマイとポッセのことを、オタクと同等それ以上に愛してくれている(Twitterを見るとわかる)ので、そりゃ歌詞見て感動するわけだ…と頷かざるを得ない。
声優としての三人のスキルを存分に引き出しているこの曲、ただ「エモい」という言葉で片付けておくには奥深すぎる。浅い思考をどうにか絞って魅力を探求したい。
 
*まだ途中です。随時書き足します。*
※コミカライズはそれぞれ途中までしか追えていません。申し訳ないです。
※雑誌等に記載されている情報も見ているものと見ていないものがあります。
 
ざっくり結論を言ってしまうと、この曲は
 
夢野幻太郎が見つめた2人と、Fling Posseの『こうありたい』姿とを2人に提示した
 
ものだと思っている。
 
 
白井さんのインタビューにて、「この曲は夢野幻太郎の書いた小説の話で、三人はその登場人物になりきってラップしている」ことが明らかにされた。だからこれは「夢野幻太郎から見た」乱数であり、帝統であり、Fling Posseなのではないだろうか。
 
Stellaを聴いた人はきっと、Fling Posseへの「再出発」の姿が示されているのは十分に理解していることだろう。
 

再生の Verse
流星に手を伸ばす
始まりが連なるユニバース
繋いでいく未来 with the ending in mind
揺るぎない一つの星が deep inside
何度だって繰り返す
軌道に沿って踏み出す
いつまでも reincarnation
偽りの無い shooting star
宙に舞う“Stella by Starlight”
軌跡は歪な方が Luminous

 

・「流星に手を伸ばす」

「流星」は一瞬で過ぎるものであり、最初の幻太郎のストーリーテラーパートでも「(三人が)ふと同じ流星を仰いだ」とある。これはお互いに全く知らない状態で、Fling Posseとしてチームを組むことになったことを指しているのではないか?チーム名の「Fling」には「ひとときの」「一時的な」「軽い気持ち」といったニュアンスを含む意味もある。流星に伸ばした手が、憧れや、燃え尽きていくのを惜しむ感情から来るものなのか、はたまたそれを掴もうとするものなのかは分からない。しかしいずれにせよ、「チームの繋がりをここで終わらせたくない、確かなものにしたい」という意志が見えるように思う。

 

・「繋いでいく未来 with the ending in mind」

「終わりを踏まえて」繋いでいく未来。「終わり」とはバトルの終わりか、それとも「負け」=「終わり」か。幻太郎はもう未来を見ている。

 

・「揺るぎない一つの星が deep inside」

deep inside=心の奥底で。「仲間」「チーム」が揺るぎない一つの星、そこへの感情と帰属意識が幻太郎の中に生まれた。そして、その星は「軌道に沿って踏み出す」。進むべき方向は決まっていると言いたげだ。

 

・「いつまでも reincarnation 偽りの無い shooting star」

reincarnation=輪廻、再生。shooting star=流星。たとえ一時的なものであったとしても何度だってこの三人で、という意味に取れる。「揺るぎない一つの星」がチームそのものであるならば、「流星」とは一つ一つのバトル、場面場面を指すことになる。

個人的にあの夢野幻太郎が「偽りの無い」という言葉を綴り歌うのが胸熱。

 

・「宙に舞う“Stella by Starlight”」

Stella by Starlightに記号が付いているので本のタイトルか何かかなと思いググってみたら、意外にもジャズのスタンダードナンバーがヒット。もしかしてセッションでよく使われる曲だったりするのかな。だとしたら「即興」「一度限り」という意味合いで使っているのかも。(4/25追記:実際にとても良くやる曲だそうです!)

また、この曲自体はホラー映画『呪いの家』で使われたようで、亡霊の美少女の住む家に作曲家の兄妹が訪れ…というストーリーらしい。亡霊の過去がキーになるため、過去ないし裏を持つ乱数と重ねているのかもしれない。詳しい人がいたら教えてほしい。

宙に舞う、は素直にまだ固まっていない、宙に浮いた状態と受け取ってよいのだろうか。幻太郎の中では確固たるものになっているけれど、三人の総意はまだ取れていない、ということ?もしくは「舞う」をそれぞれが自由な状態、と捉えることもできる。

 

・「軌跡は歪な方がLuminous」

Fling Posseが描く軌跡。他のディビジョンとは異なる付かず離れずの繋がり、裏を持った乱数、嘘つきの幻太郎、恐らくは東方天乙統女さんと何らかの繋がりを持っているであろう帝統。正に歪で、だからこそ光り輝くと彼は言う。バトルシーズンでの負けも、軌跡の紆余曲折の一つに過ぎないと彼は考えている。

 

どこかで星が流れた
それは手繰られるように夜の縁をなぞった
焼け落ちた剣の星で王様が
右側が水晶、左側が砂の星で山賊が
光り方を忘れた隅っこの星で科学者が
ふと同じ流星を仰いだ
物語の切れ端を乗せた船は
瞬きの隙間を縫って飛び去った

 

・「どこかで星が流れた それは手繰られるように夜の縁をなぞった」

フックの部分より「流星=一場面」であることに加え、この後の三者が「ふと同じ流星を仰いだ」の「流星」がここと同じものであるとすれば、言の葉党による国家転覆事件を指している可能性がある。手繰られるように=予め計画されていた。「夜の縁をなぞった」はどう読むべきか…夜の縁、すなわち朝との境と考えれば女性優位であること(=男性が虐げられること)の象徴。男性と女性、中央区とそれ以外のようにきっぱりと区別されたということも示しているかもしれない。

 

・「焼け落ちた剣の星で王様が」

帝統。何も持たない者、闘いの果て。

 

・「右側が水晶、左側が砂の星で盗賊が」

ここ難しい。どう受け取ればいいんだろう…。水晶は無色透明だが形のある、壁になるものとして、あるいは未来を映し出すものとして?砂はもっとわからない。水晶の対極として例えば砂時計の落ちた砂とか、歩きにくい、足元にまとわりつくものが多い=しがらみが多いということなどが思いつく。

 

・「光り方を忘れた隅っこの星で科学者が」

光り方を忘れた=TDDを辞めた、あるいは乱数の隠していること=「人道を犯した」ことか。幻太郎は乱数が、何かに躍起になっている、心を囚われていることに気づいている。隅っこ、という言い方は、誰にも自らの全てを見せない乱数の立ち位置を表しているようだ。

 

・「ふと同じ流星を仰いだ」

先述の通り、言の葉党事件という「同じ瞬間を目撃した」。

 

・「物語の切れ端を乗せた船は
瞬きの隙間を縫って飛び去った」

作詞作曲陣+白井さんのインタビューによると、フックの部分は「三人が宇宙船で星々を旅している」ことを表しているそうなので、「物語の切れ端を乗せた船」=人生の一部を共にしているFling Posseという共同体、であろう。「瞬きの隙間を縫って」=誰かの(それぞれの周囲の?)目を盗んで、「飛び去った」=現状からの脱走。